今回の演奏会の練習も大詰めに来て、まもなく合宿の日がやってくるというある練習日の後、団長さんが何気なくやってきて「合宿係、たのむね」「えっ……? 合宿なんて、1回しか経験したことないのに〜(注:私、入団1年未満です!)」と言う声も聞き届けられず、やむなく合宿のお手伝いをすることになったのでありました。(編集部注:当団には「団長」はおりませんがここでは原稿通りとします)
ところでオーケストラの合宿って、どんなことするかご存じですか?ずうっと練習してるんです、ホントに。普段会社員や公務員として働いていて、なかなかまとまった練習時間がとれないので、ここぞとばかり練習を
しているわけです。本当にこのあたりは横フィル団員の勤勉さがにじみでているのです(注:もちろん休憩や食事、おやつタイム、睡眠はあります)。
合宿の係となった私ですが、ほとんどの仕事は合宿幹事長が一人、執り行ってくださり、残された仕事「宴会のゲーム係」という仕事が回ってきたのであります(注:宴会ぐらいは行われます)。再び「えっ……?そんなことやったっけ?」と驚いている間もなく、その晩は合宿最終日前の夜。宴会の時間まであと数時間。そして「期待してるよ」と団長さんからのおもーいプレッシャー。その後の練習時間、合奏中、頭の中の半分はゲームの段取りを考えていたことは言うまでもありません。
さて宴会も始まり、みなさん和やかに会話を弾ませているので「こんな雰囲気を中断させるには忍びないな」と思いつつ、降り番の方にゲームの賞品まで用意していただいた手前「まあ、聞いてない人がいたっていいや」といい加減に考えて「それでは……」と始めたのであります。自分の仕事上、ゲームなどの説明をすることはあったのですが「かつて、こんなに一生懸命に話を聞いてくれる人たちっていたかしら……」と驚いたのも束の間、なんだか異様な雰囲気が部屋の中に満たされてきたのであります。グループ対抗にしたのが良かったのか、悪かったのか……。一つのグループが問題を出し、残りのグループが答えるように企画したのです。そして問題を出すグループになると、それはそれは音楽的工夫を凝らした出題を考えるのです。ハミングでハーモニーを作って、紛らわしく出題するグループ、Pやfを考え出題するグループ、果ては中村先生に指揮をしてもらいながら出題するグループ。答える方はといえばかなり真剣です。だんだん出題するグループのほうへ近寄り「ちょっとー、見えないわよー」などという声が飛び交い、作戦を練り、頭を寄せ合い「よし、わかったー」という声に「えーわかんなーい」という声。と思うと片隅にあくまで和やかに飲みつづけるグループ。そしてまた出題グループが変わると、どどどどっと人はそちらへ動き……。この光景を誰が予想する事ができたでありましょうか。「どうしてこんなに夢中になってしまったの!」あまりの驚きに、一歩、二歩、三歩、と後ろへ下がり「和やかに飲み続けるグループ」に加わりそうになっていたのは他の誰でもない「ゲーム係」の私でした。
しかしその時私は学んだのです。本当に横フィルの人たちってやさしくて、まじめで、いい人たちの集団なんだということを。そして確かに、横フィルに入団したことは、間違いではなかったということを……。
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